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非連続テキストを使って読みの力を伸ばす

 中等教育や高等教育機関で使用している外国語学習の教科書では、UnitとUnitの間や章と章の間で、チラシのようなテキストページがある。これを非連続テキストという。

 基本的に非連続テキストでは、そのテキスト自体が独立している。この非連続テキストを使って「読解」の力を伸ばしていくことができるのではないか。

 

 非連続テキストにおいて伸ばすことができる「読解」の力は3つある。一つ目は情報を検索する力だ。二つ目は情報を参照する力だ。三つ目は情報を活用する力だ。

 一つ目の情報を検索する力とは、個別の具体例や具体的な事実の事を指す。換言すれば、いつ、どこで、何があるのかということをテキスト内から掬い取る力だ。英語学習ではスキミングリーディングと言われるものだ。

 二つ目の情報を参照する力とは、情報検索において得られた複数の具体的事実を重ね合わせる事を指す。Aという場所ではA´という事象が起こっており、Bという場所ではB´という事象が起こるということ把握するということだ。情報を縦に見る力とも言える。

 三つ目の情報を情報を活用する力とは、参照した情報を基にして、何が言えるのかということやどのような仮説が立てられるのかということを指す。複数の具体的事実集め、参照した結果、帰納し一つの抽象的概念を形成する力とも言える。

 

 非連続テキストを用いた読解指導の中では、語彙力や文法知識というのは学習者個人のみ力ではなく、辞書やICT、生成AIを用いても良いものとし、上記の3つの読解の力を育むトレーニングをしていく。

 具体例を挙げる。Aさん、Bさん、Cさんという複数人のプロフィールが書かれた非連続テキストがある。ここで学習者にする発問としては一つ目の情報を検索する力を鍛えるために、例えばピンポイントで「Bさんが好きな食べ物は何か」と問う。この場合、学習者は具体的な一つの事象について調べ、問いに答えるだろう。

 次に二つ目の情報を参照する力を鍛えるために、「このAさん、Bさん、Cさんの中で共通して好きなことは何か」と問う。この場合、学習者は大きく2つに大類される。一つはAさん、Bさん、Cさんの好きな事を具体的に上げるという学習者だ。もう一つは、Aさん、Bさん、Cさんの好きな事を抽象化し、例えば、「3人ともスポーツが好きだ」と答える学習者がいるだろう。

 そして三つ目の情報を活用する力を鍛えるために、「3人の情報を基にして言えることは何か」と問う。この問いに対して答えらる学習者と答えられない学習者が存在し始める。この問いに答えられる学習者は、おそらく、「3人とも10代ぐらいなのではないか」とか「3人とも学生なのではないか」と答えるだろう。

 

 情報を検索する力では、具体的事実を掬いあげるだけであるから、普遍的に正誤をつけて評価することができる。一方で、情報を参照する力や活用する力は解答が分裂したり、指導者と学習者の中で議論が生まれる可能性がある。これにより、多面的な読みが実践され、外国語学習の読解が深化していくのではないか。

 非連続テキストを用いた学習を繰り返していくことで、学習者が汎用性のある読解の力をみにつけていくことが可能になるかもしれない。