探究人間のいろいろ。

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書簡体の文章に触れる

こんにちは。

 

最近、忙しくなりつつある探究人間です。

 

さて、先日生まれて初めてゲーテの作品を読んでみました。

読んだのは『若きウェルテルの悩み』竹山道雄

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私自身、文学自体あまり詳しくありませんがゲーテはドイツ文学において小説よりも詩の評価が高いようです。そして、この若きウェルテルの悩みは主人公(男)ウェルテルが友人に宛てた手紙という体で、シャルロッテへの叶わぬ恋模様を描き、やがて破滅していくというお話です。

 

このお話はゲーテの自伝的お話であるということはかなり有名な話らしく、岩波文庫の解説部分にも詳しく書かれています。

 

『若きウェルテルの悩み』竹山道雄訳 岩波文庫241頁

この小説はゲーテの伝記の外的事実にモデル的にも忠実なものではあるが、しかしその真の生命は、(略)、若いゲーテの内面精神のほとんどすべてがここに吐露されているという点にある。

 

要約動画やまとめなどもネットにありますから、そういったもので物語の概要を掴むのもありかと思います。

 

私が注目したのは、この書簡体(手紙形式)というスタイルの小説です。このスタイルを私はあまり読み慣れていないので不思議な感覚がします。以前に唯一読んだことがあるのは、アメリカ文学の『あしながおじさん』しかありません。

 

この文章スタイルだと、主人公の一人称世界に没入していくことができる良さもありつつ主人公の主観以外の部分を客観的、事実的に把握することが難しいという面があるように個人的に思います。

 

そして、疑似的にある人(他人)のプライベートを垣間見るということに楽しみを覚えるという人もいるのかもしれません。この場合作者や物語の主人公自体に読者が共感していたり、興味を持っていたりすれば余計に読者にとって楽しいものとなるのでしょう。

 

書簡体に似た形式がモノローグ(独白)形式の作品かとは思われますが、モノローグは時として読者を切り離していく場合があるように感じます。書簡体の方が読者に共感性を持たせやすいのかもしれません。

 

物語の内容を立体化させる表現技法について、さまざまな作品に触れたいと思う今日この頃です。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。