こんにちは。
今日で東日本大震災から12年たったのかと朧気に思いつつ、近所の公園で夏目漱石の『それから』を読み終えた。
この話は、前期の漱石文学3部作(『三四郎』、『それから』、『門』)の2作目の作品であるから『三四郎』との話の内容との連関がみられる。『三四郎』に関しては以前に記事を書いたから参照いただけると幸いである。
『それから』では、高学歴だが働かず、日露戦争後の日本の狂乱を嘆く高等遊民「代助」が親友の平岡と三千代との三角関係に悩むという話である。代助は30歳で戦争時に奮闘した父親から資金援助をされながら贅沢に暮らす。父親は代助に縁談の話を進めるが、代助はその縁談をはぐらかしながら生きていた。彼が縁談を断り続けのには訳があった。その事情とは、かつて代助自身が斡旋した親友の平岡と三千代夫妻に関係がある。代助は何を思い、この関係にどのような始末をつけるのか。。。という話である。
『三四郎』、『それから』と読んできて、漱石が描写しようとした日本式の恋愛観や当時の結婚形式、儒教思想に対する問題提起は興味深い。おそらく漱石自身の実体験も作品の中に投影されているのだろう。
そして「愛」、「金」、「家」これが個人的にキーワードとなるだろう。
愛は当時の自由恋愛や自由結婚に対する風当たり
金は人間関係の隙間に入り込み腐らせるもの
家は上(年長者や親)を立てることへの重責
という3つの観点が主人公が帝大卒のインテリという部分において重要な箇所になってくる。
個人が知識を増やしていくことや思想体系を形成していくことは、時として苦しいことだと思う。
実際当時の人々はどのように感じていたのだろうか。。。
最後まで読んでいただきありがとうございました。