探究人間のいろいろ。

人文学 哲学 言語学 教育学 

偶然の中で生きる

こんにちは。年が明けた。

 

昨年末にマイケル・サンデルの「実力も運のうち」という本を読んだ。

 

この本は、いわゆる能力主義(誰だってやればできるからこの世界は皆とって平等である。社会的に成功している人は実力があるからだ。)という考え方に対するアンチテーゼが書かれている。一言で言ってしまえば、基本的にあなたが思うあなたの「実力」というものは多くの要因(家庭環境、健康状態、出生、家系、経済環境など)が偶然上手く折り重なり生成されたものです。という結論だ。

 

オバマ、トランプ、バイデンが当選した大統領選挙において、アメリカ社会全体に蔓延した社会的分断についても細かく分析されている。特に、学歴差別社会についても多くの問題提起をしている。

 

最後の結論部分でサンデルは個別の職業に対するリスペクトと人々との対話の重要性を提案する。

 

もちろんこの本の内容については賛否両論あるし。極論ではカルヴァンの運命予定説的な感じにとらえられて、あらかじめ全て決まった人生なので、もう何も努力しません。という感じになりかねない。

 

結論部分のところだって、ほとんどの人間が他人や自分に対してのバイアスをゴリゴリにかけながら、他人を見下し生活しているのだろう。良いとか悪いとかではなく、事実としてそういうものだ。

 

私たちはこの偶然に絡まれた世界の中でできること、それは「謙虚に自分の他者との相違を受けれいれ生きる」ということだろう。

 

今年もよろしくお願いします。