こんにちは。
先月は仕事が多忙だったり、体を壊したりでポストができなかった。しかし、あいかわらず本は読んでいる。
すこし前に買って、最近読み終えたのがエマヌエーレ・コッチャの「メタモルフォーゼの哲学」だ。
この本は生命を万物共有の大きな概念として捉えなおし、命の変体性(メタモルフォーゼ)を現代西洋思想を基に論じている。命の連続性について食べることや食べられること、身体の破壊を具体例に書かれており大変興味深い。若干東洋思想のようなエッセンスもある。本のページ数としてはあまり長くなく、取っつきにくい哲学書というわけでもないからおすすめだ。
コッチャ自身が都立大学(首都大学)でゲストスピーカーとして呼ばれ学生と議論を交わしている様子がYouTube 上で見ることができる。こちらも併せて見てみてもよいかもしれない。
ここからは私が思っていることを少しだけ記す。
生物学的な生命を論じる場合はコッチャが主張している概念は理に適っているし私自身もそのように思うことができる。ただ文化的な側面も併せた生命を考えていく場合、ほぼすべて人は当然のごとく、自分の生命は自分の中で完結しうると思っている。個人的な生命観を超えた形而上学的な命に対する考え方は、おそらく想像し難い。現代においては自分が自分であるという自己同一性の破壊となる考えかたは中々広まらないだろう。